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カート

カートが空です

C.1930-1950 「海辺の午後、遠く帆を待つ」|無名画家によるカルトン画


はじめてこの絵を見たとき、頬をかすめた潮風のぬるさを思い出しました。

空はうっすらとミルク色に濁り、海は、遠くへいくほど青く沈んでいく。
砂は柔らかく乾いていて、ところどころに転がる影が、午後の陽の角度を教えてくれる。

画面の奥に、小さなヨットが一艘。
風をつかまえて、しずかに、すこしだけ、斜めに進んでいく。手前には、赤茶けた屋根の小屋。
木々は葉をたくわえ、葉脈ごとに陽を浴びている。

「Gregoire(推測)」

その名前が、左下に小さく記されていた。
インクでも、鉛筆でもない——
絵具で書いた筆跡は、呼吸をするように自然。

誰だろう?

フランス人だろうか。旅の途中のスケッチか故郷の記憶か。Googleにも、美術館にもどこにもこの画家の情報は見つからない。

この人物がどこに暮らし、どんな人生を送ったのかはわかりません。

けれど、絵という記憶のかけらを通じて、私たちは一瞬だけ、彼と同じ風景を見ることができる。彼が名も知らぬ浜辺で過ごした一日。見た光景、聴いた音…そうした“残されなかった記録”。

この小さな風景画は、派手さはないけれど、ふとしたときに目をとめて、そんな想像をしたくなる一枚です。


絵筆は荒く、あえて輪郭をぼかすようなタッチ。

筆の運びはおそらくプレナール(戸外写生)で、即興性の中に画家の呼吸と視線の動きが残されています。

具象と抽象のはざまを漂うようなこの描き方は、1920〜50年代の地方画家に多く見られる特徴です。


⚫︎ 素材| 油彩カルトン画
⚫︎ 買付国|フランス
⚫︎ 年代|C.1930-1950
⚫︎ サイズ | 縦15.7cm 横23.8cm


当店では、ご購入前に商品細部までご確認いただけるよう、マクロレンズ(昆虫の毛や機械式時計のムーブメントなど、緻密な撮影ができるレンズ)で撮影をしております。そのため、肉眼では見えない微細なダメージや経年変化が気になる場合がございますが、実際に見ると気にならない程度であることがほとんどです。




セール価格¥15,800

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C.1930-1950 「海辺の午後、遠く帆を待つ」|無名画家によるカルトン画
C.1930-1950 「海辺の午後、遠く帆を待つ」|無名画家によるカルトン画 セール価格¥15,800

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